大井和郎 (Kazurou Ohi)



 大井和郎さんを簡潔に表すとすれば、BGMには不適な音楽です。
 何をしているときでも、大井さんの演奏が耳に入ったら聴き入ってしまいます。自動的に集中力を音楽の方に向けさせるという物凄い力を持っています。意識しなくても音楽に浸ることが出来るのです。こんなピアニスト、他に1人も知りません。
 ですからBGMにするには存在感がありすぎますし、疲れて肉体的に滅入っているときにはとても聞けたものではありません。充分余裕があるときにじっくり聴くのに適した演奏なのです。
 彼は、「リスト・ルネサンス」と題して、あまり弾かれることのないリストの曲を取り上げています。これからどんな曲が飛び出してくるのか、非常に楽しみです。


「パガニーニ・エチュード(完全盤)」
「Etudes d'exècution trancendante d'après Paganini, Grandes etudes de Paganini」

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1トレモロ(パガニーニによる超絶技巧練習曲第1番)(パガニーニによる大練習曲第1番第1稿)S139/15:33
2オクターブ(パガニーニによる超絶技巧練習曲第2番)(パガニーニによる大練習曲第2番第1稿)S139/26:06
3ラ・カンパネラ(パガニーニによる超絶技巧練習曲第3番)S139/35:10
4アルペジオ(パガニーニによる超絶技巧練習曲第4番)(パガニーニによる大練習曲第4番第2稿)S139/4b4:38
5狩り(パガニーニによる超絶技巧練習曲第5番)(パガニーニによる大練習曲第5番第1稿)S139/54:13
6主題と変奏(パガニーニによる超絶技巧練習曲第6番)(パガニーニによる大練習曲第6番第1稿)S139/66:39
7トレモロ(パガニーニによる大練習曲第1番)S140/15:44
8オクターブ(パガニーニによる大練習曲第2番)S140/26:09
9ラ・カンパネラ(パガニーニによる大練習曲第3番)S140/35:05
10アルペジオ(パガニーニによる大練習曲第4番)S140/42:14
11狩り(パガニーニによる大練習曲第5番)S140/53:15
12主題と変奏(パガニーニによる大練習曲第6番)S140/66:22
録音:1999年、2000年

2005/01/28

 リスト・ルネサンス第1弾。有名な「パガニーニによる大練習曲」の全曲と、その第1稿(伝説の難曲集)全曲を録音しています。これを弾きこなせるのは確かに凄いのかも知れませんが、大体パガニーニによる大練習曲自体、ラ・カンパネラ以外は好んでいる訳でもないので、ほとんど聴いていません。ちなみにブックレットであの野本由紀夫さんが詳しい解説を書いています。



「超絶技巧練習曲集(初稿)」
「Etudes pour le piano en douze exercices」

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112の練習曲第1番(超絶技巧練習曲第1番「前奏曲」第1稿)S136/11:01
212の練習曲第2番(超絶技巧練習曲第2番第1稿)S136/21:10
312の練習曲第3番(超絶技巧練習曲第3番「風景」第1稿)S136/33:55
412の練習曲第4番(超絶技巧練習曲第4番「マゼッパ」第1稿)S136/40:56
512の練習曲第5番(超絶技巧練習曲第5番「鬼火」第1稿)S136/52:52
612の練習曲第6番(超絶技巧練習曲第6番「幻影」第1稿)S136/61:15
712の練習曲第7番(超絶技巧練習曲第11番「夕べの調べ」第1稿)S136/72:21
812の練習曲第8番(超絶技巧練習曲第8番「幽鬼の猟団」第1稿)S136/81:43
912の練習曲第9番(超絶技巧練習曲第9番「回想」第1稿)S136/94:18
1012の練習曲第10番(超絶技巧練習曲第10番第1稿)S136/101:44
1112の練習曲第11番S136/113:51
1212の練習曲第12番(超絶技巧練習曲第12番「雪嵐」第1稿)S136/122:12
1312の大練習曲第6番(超絶技巧練習曲第6番「幻影」第2稿)S137/66:01
1412の大練習曲第7番(超絶技巧練習曲第7番「英雄」第2稿)S137/76:20
1512の大練習曲第9番(超絶技巧練習曲第9番「回想」第2稿)S137/910:16
1612の大練習曲第11番(超絶技巧練習曲第11番「夕べの調べ」第2稿)S137/1111:21
17超絶技巧練習曲第10番S139/104:46
録音:2001年

2005/01/28

 リスト・ルネサンス第2弾。超絶技巧練習曲の第1稿という予告を見て、12の大練習曲全曲かと勘違いしてかなり期待したのですが、第1稿は12の練習曲の方でしたね。15歳のときの作品です。大井さんが「これをまともに演奏して、音楽として満足させるためには大変な技術を要求される」と書いていますが、聴いてみてもそれほど素晴らしいものには聞こえません。
 4曲だけ入っている第2稿はさすがに凄いです。とんでもない集中力をもって見事に弾きこなしています。どうせなら12の大練習曲を全曲録音した欲しかったな。多分第4曲や第8曲が弾けなかったのでしょう。
 野本由紀夫さんはここでも詳細な解説を書かれています。



「巡礼の年、子守歌」
「Annèes de pèlerinage, Schlummerlied」

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1泉のほとりで(巡礼の年第1年「スイス」第4曲)S160/13:56
2ヴァレンシュタットの湖で(巡礼の年第1年「スイス」第2曲)S160/23:03
3エステ荘の噴水(巡礼の年第3年第4曲)S163/48:26
4ノスタルジア(巡礼の年第1年「スイス」第8曲)S160/85:23
5牧歌(巡礼の年第1年「スイス」第7曲)S160/73:55
6ジュネーヴの鐘――ノクターン(巡礼の年第1年「スイス」第9曲)S160/96:10
7子守歌(クリスマスツリー第7曲)S186/73:15
8ペトラルカのソネット第47番(巡礼の年第2年「スイス」第4曲)S161/44:47
9ペトラルカのソネット第104番(巡礼の年第2年「スイス」第5曲)S161/56:25
10ペトラルカのソネット第123番(巡礼の年第2年「スイス」第6曲)S161/67:11
録音:2002年

2005/01/28

 これはリスト・ルネサンスとは別枠です。巡礼の年第1年の元になった「旅人のアルバム」を録音するなどという話もあっただけに、巡礼の年そのものだと聞いて残念に思っていました。正直、大井和郎は知られざる難曲だけ弾いていればいいと思っていました。
 聴いてみて、僕が彼を完全に誤解していたことに気付きました。ページの初めに書いたような大井さんの魅力を初めて感じました。泉のほとりで、エステ荘の噴水、ジュネーヴの鐘、子守歌、美しすぎる。世界に通用する演奏だと本気で思っています。
 ただ、残念なことに解説が意味不明です。堀江昭朗という人、大井さんの演奏の描写はカッコいいのですが、曲目解説が良くない。リストが1887年にイタリアに行ったり…。リストなんてマイナーな作曲家だから適当に書いてもバレやしないとでも思ったのでしょうか? 大井さんがリストファンからどんなに期待されているか、全然分かっていません。さらに、恥ずかしいことに堂々とアクサンを間違えています。"annèe"ではなく"année"です。(パガニーニのときもそうでした。まさか徳間ジャパンには"é"が出せないのかな?)演奏があれだけいいのに。本当に残念です。



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