第3回アンケート 超絶技巧練習曲(S139)

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2005/07/10

回答受付期間:2005/05/04〜2005/07/10

 第2回のアンケートのときに、コメントの中で次は超絶のアンケートがいいと書いている人が数多くいらっしゃいました。超絶をあまり聴かない僕はそれほど乗り気ではなかったのですが、そんなにして欲しいならやってみようじゃないか、ということで始めてみました。予想通り、過去最多の回答数。コメントの分量も前回の2倍以上! この曲集がいかに愛されているかを思い知らされました。僕一人とりのこされたような感覚の中で(当然これは覚悟していましたが)、結果を見ていくことにします。
 まずは投票の様子をご覧下さい。


名前第1番第2番第3番第4番第5番第6番第7番第8番第9番第10番第11番第12番
けこさん10111220159131719141618
ふゆひこさん181919171620151715172020
zimerfanさん54121417.5101316.515.517.51119
そこら辺の人さん11192015--14---17
改さん101810201618111714161015
LOM1213815468910201714
ヴァガボンドさん227201020152010202017
RYOさん1356201815171011-219
たかこ姫さん171451981816107201519.5
音楽の玉手箱さん181610132010101711201614
直坊さん19189201516111210171314
遊佐猫介さん1778.4200.31.21015.6165119
匿名1さん161810191710111699914
anonymousさん81210201420101018201820
ユウさん0151614813919.819.719.92017
ユウさん36710911121112010
さくらさん419111615141218219.5106
HSKさん1715381710815241820
KOUさん517121015108141218184
匿名2さん114751519.9136810203
CEOさん51701815105185181818
夢幻さん51018201714951812208
Rちゃんさん510551855510181020
ayaさん101015201510101013102015
ragazzoさん12910201810.586184173.9
APPLEさん108170312.31617.5521413
孔琴須加さん187919201321816241
匿名3さん126820159101710131317
平均10.10711.4649.76415.78613.77912.03310.22213.65711.30413.72714.44414.121
 (ユウさんが2人いらっしゃって、困ったのですが、とりあえずそのままにしています。コメントを引用しているのは全て表の上の方のユウさんです。)


 みなさんがお書きになった点数を平均して並べた順位は、次のようになります。(点数を直接書いていただいているので、これを正式な結果と考えていいと思います。)
 第4番「マゼッパ」>第11番「夕べの調べ」>第12番「雪嵐」>第5番「鬼火」>第10番>第8番「幽鬼の猟団」>第6番「幻影」>第2番>第9番「回想」>第7番「英雄」>第1番「前奏曲」>第3番「風景」


 まず、曲集全体についてのコメントの中から引用してみます。けこさん「この超絶技巧練習曲集は、どれもとてもいい曲なので、本当は全部20にしたかったです。だけど、がんばって好きな順に並べてみました。」/ふゆひこさん「僕は『超絶技巧練習曲集』として20点なので、点を低くした曲も、無いと困る曲です。」 最高20点で、全曲を2桁でつけている人が結構いることからも、気持ちがよく伝わってきます。その一方で、曲集の中でも嫌いな曲は嫌いだという態度をはっきりと示している人もいます。曲別に傾向を見ながら、その辺りも確認していくことにしましょう。


 それでは、人気度の高い曲から順に見ていきます。

 第1位は、文句なしに第4番「マゼッパ」です。平均点で2位の曲と1.4点も差を付けている超人気曲! 回答者の半分がこの曲を一番好きな曲として投票している(複数の曲を1位にしている人を除いても、3分の1!)のですから、その地位は揺らぎそうにもありません。
 「第4番は私が衝撃を受けた曲ですね。『ピアノでこんなことが出来るんだ!』と。とにかく三度の和音を滑らせつつ交差するという技法は視覚的にも大変インパクトがあり、『凄い!』と驚かせざるを得ませんでした。そのときはそれだけで、好きな曲にはならなかったのですが、聴き込んでみて好きになりました。同じ主題が、特に中間部の穏やかな部分で全く違う性格を持って表れますが、その対比がいいです。」(さくらさん)、「これは大好きです。音の数が多くて、とても派手です。力強さに驚きました。」(ragazzoさん)、「言葉では語り尽くせないほど好きです。実は初めて聴いたリストの曲でして、それ以来病みつきになりました。畳み掛けるような曲の流れも非常に好きです。音は決して明るくないでしょうが、前向きな曲だと思います。」(遊佐猫介さん)、…。
 少数派ですが、否定的な意見も紹介しておきます。「マゼッパは映像で見ると良いと思いますが、聴くだけだとあんまり…。」(音楽の玉手箱さん)、「迫力十分で格好良いのですが、すぐに飽きます。」(HSKさん)。
 これらを含めても、この曲は“リストらしい”魅力たっぷりの作品だと言えると思います。あんなことを書いているHSKさんだって、かつて「マゼッパを聴いて初めて、リストっていいなぁと思った」と語っていました。リストが合っているのにそれを知らずにいる人のために、この曲にはそれなりの知名度を保って欲しいと思います。とは言っても、余計な偏見を生まないために、今ぐらいの知名度がちょうどいいのかも知れません。「『マゼッパ』は良くも悪くもリストの代名詞だと思います。」というふゆひこさんの言葉が、的確に表現しています。


 第2位から第6位までの5曲が団子状態になっています。

 この中で、上位3曲の中に入れた人の数が一番多い(12人)第12番「雪嵐」(第3位)から取り上げます。面白いことに、下位3曲の中に入れた人も、5曲中で最も多い(6人)のです。4位ということで、もちろん人気の曲と言っていいのでしょうが、好きな人が特に多くて、嫌いな人も少なくないのがこの最終曲だと言えそうです。
 まず好きな方のコメントから紹介します。「曲名に手放しで頷けるのはこの曲だけです。しっとりしていて好きですね。風格がある曲なのでとても感じがいいです。」(遊佐猫介さん)、「終曲にこんな最高級の曲を持ってくるとはさすがリスト。激しさと透明感を合わせたような曲ですね。後半は透明感は消え、“痛み”を感じます。」(HSKさん)、「たくさんの粉雪が自分の周りを取り囲んでいて周りの様子がわかりにくい不安などが、良く表現されていると思います。」「最後にピッタリの曲。40歳のリストさんはもう自分の人生を悟っていたのか、ドラマチックでどこか壮絶感が漂い、死を連想させてる感じが、たまらなく心に突き刺さってくる。最後の和音8個が、はかない命が消えていって、今まで生かしてくれてありがとうって聞こえるの…。」(たかこ姫さん)。
 あまり高く評価しない方は、「いい曲だとは思うのですが、個人的にはそこまで好きではないです。」(音楽の玉手箱さん)、「主旋律のあの音の数で雪嵐を作るのは見事だと思いましたが、変な怪しさが受け付けません。」(ragazzoさん)など。僕も単純に大好きとは言い切れない感じです。でも、時々とてつもない凄みを感じるので、点は高めにしておきました。魅力がよく分かっている方は、“分かる人には分かる”とでもおっしゃるのでしょう。

 3位までの人数が2番目に多い(そして下位3位に挙げている人の数も同じく2番目)のが第10番(第5位)です。上位3位が11人、下位3位が5人。
 「この曲は一番好きで、全部が好きです。憂鬱そうな下降主題と情熱的な上昇、リズミカルな3連符、全てがかっこいいです!」(さくらさん)/「躍動感と繊細さを併せ持つ素晴らしい曲だと思います。」(音楽の玉手箱さん)
 「人気な第10曲ですが、嫌いです。演奏者によるのかもしれませんが、最後を除いて思い切りがなく、ぐずぐずしている。」(HSKさん)/「情熱はありそうですが、不安定な印象を受けました。人気があるみたいですがそんなに好きではありません。」(ragazzoさん)

 同じく11人/5人の第5番「鬼火」(第4位)
 「マゼッパと同じく難曲みたいですが激しくは無く、スマートな感じです。不思議な明るさで、鬼火が揺れているような感じです。」(ragazzoさん)/「第5番は極めてリスト的だと思います。恐らく彼以外誰もこのような曲は作れないでしょう。ソナタやファウスト交響曲など最高傑作群の快速部分の融合がこの曲だと思います…というのはちょっと大げさでしょうか。…完璧時代考証無視だ(笑)。」(HSKさん)
 「練習曲としてはいいですが、音楽としてはちょっと、という感じです。」(ユウさん)/「有名らしいのですが、好きになれません。酔います。半音進行もこういう使われ方をされるとダメです。現実に音楽酔いを起こしたのはこれが初めてです。」(遊佐猫介さん)

 続いて第2位第11番「夕べの調べ」、8人/4人。(上下位3曲ずつの人数の順位は最後までキレイな形です。)
 「メロディが素敵です。盛り上がりまくって最後の静けさも決まっています。」(HSKさん)/「印象派風の曲みたいです。ペダルをよく使った、音の響かせ方が見事です。広い音域の分散和音はハープのように美しいです。」(ragazzoさん)
 「長いだけな気がします。聴いていて疲れます。」(遊佐猫介さん)/「第11番は人気ですが、私は普通です…。確かに綺麗ですが他にも綺麗な曲はたくさんあるし(笑)。」(さくらさん)

 5曲の最後は第8番「幽鬼の猟団」(第6位)です。(誤訳である「狩り」の代わりとして、さまざまな新訳が提案されています。僕は「狩」の意味を失いたくないので、「猟団」という言葉を使いました。)上位が7人、下位が2人。
 「死霊が出てくるはずなのに意外とメロディが綺麗。」(HSKさん)/「曲集中で一番悪魔的だと思う。凄いエネルギーを感じます。」(音楽の玉手箱さん)/「荒れ狂う感じがいいです。全体が流動的なのもいいなあと思います。リズムが一番気持ちいいと感じる曲ですね。」(遊佐猫介さん)/「冒頭の激しさは好きですが、長調になり、おとなしくなるところが嫌いです。冒頭の激しさのまま突っ走って欲しかった。」(ragazzoさん)

 点数を平均して見るとこれらの5曲はほぼ同じになりますが、散らばり方が違うということです。「雪嵐」は、好きな人も多いですが嫌いな人も多いのに対して、「幽鬼の猟団」あたりになると、特に大好きという人は多くなくても嫌いな人も少ない、というデータ。そして、どの人でも、5曲のうち最低2曲は好きなものがあるようです。


 さて、第7位第6番「幻影」です。第6位との間に1.6点もの差があるので、ここからは、最人気の6曲(多っ!)とは別に考えた方がいいと思います。
 コメントを書いて下さっている中で、手放しで褒めているのは改さん1人です。「初めて聴いたときはちょっと抵抗がありました。けれど聴けば聴くほど神秘に満ちた曲に聞こえてきます。」
 あとはどれも、いくらか否定的な言葉が入っています。「高音のアルペジオが美しいです。オクターブのカデンツァはとてもかっこいい。そこから長調になるのは少し残念。堂々としたところは好きでしたけど。」(ragazzoさん)、「淡々と走ってるような感じで印象にあまり残りません。」(遊佐猫介さん)、同じように印象にあまり残っていないというコメントが2人。

 ここから先は、一番好きな曲と書いている人が一人もいません。
 第8位第2番。3位以内にしている方が、最後の5曲の中では最も多く、6人です。
 「短いですがかなり好きです。不協和音が生む緊迫感やスケルツァンド風の装飾がとても好きです。そしてカッコいい。」(さくらさん)/「アクロバティックで好きです。」(音楽の玉手箱さん)/「格好良いですね。演奏効果も抜群だと思います。超絶技巧練習曲という題名が一番似合うのがこの曲ではないでしょうか。」(HSKさん)/「始まり方は好みではないですが、だんだんかっこよくなってきていい感じです。切れ味のよさが好きです。」(ragazzoさん)/「音の動きが分かりやすいですね。うろちょろうろちょろ動き回る感じがしますが、いまいち曲に魅力を感じないです。冴えない、という言葉がしっくりきます。」(遊佐猫介さん)

 第9位第9番「回想」、3位以内は2人ですが、コメントを見ると人気は低くないようです。曲集の中で目立つ曲ではないために、どうしても点数は低くなってしまいますが、いい曲だと言っていいでしょう。
 「たぶんリストの曲の中で一番美しい曲なんじゃないかなと思います。やさしく包み込むような癒し系の曲だと思っています。」(改さん)/長い曲ですが、癒されます。特にカデンツァに比類の無い美しさを感じます。」(ragazzoさん)/「まるでロードレース。だんだん変わっていく景色を楽しみながらゴールまで目指していける感じです。」(遊佐猫介さん)/「メロディーが素敵です。クラシックっぽくないから、人前で弾くのもよいかと思います。」(けこさん)
 「第9番は退屈。「回想」という題名は好きですが。好きな箇所が1つもありません。」(HSKさん)/「嫌いです。個人的には問題外です。」(さくらさん)


 残り3曲は、6位までに入れている人数で見ていきましょう。一番多いのは11人の第1番「前奏曲」、点数の順位では第11位です。何せ短いので、第6位までの曲などと並べるには抵抗あるという人が少なくなかったようですが、単独で考えると、充分魅力的な曲なのでしょう。
 「短い中にリストのピアニズムが凝縮している感じです。」(ragazzoさん)/「短いながら実に壮大な曲だと思います。この曲集全てを包容するような。」(HSKさん)/「聴いていて“極彩色”を感じます。」(遊佐猫介さん)/「これは名前の通りあくまで「前奏曲」でしかないと思います。しかし短い中に華やかさを添え、「超絶技巧」の前奏曲にふさわしい曲だと思います。」(さくらさん)/「この曲はただの飾りでしょう。」(ユウさん)

 第12位第3曲「風景」、6位以内は7人です。リスト自身は何か意図があって、超絶技巧練習曲の中にこのような静かな曲を入れたのでしょうが、余計なことをしなくて良かったのにと思っている人も多いようです。
「何かと不思議な魅力がある曲だと思います。中間部で盛り上がるところがグッドです。」(改さん)/「美しい曲です。思いっきり癒されます。美しい風景が頭に浮かびました。でも長い。寝る前に聞くのが正しい聞き方か?(笑)」(ragazzoさん)/「この激し過ぎる曲集の中で大人しさを垣間見ることが出来て好きです。ただ、何故この曲集にこれが交ざるのかは疑問です。情緒を求めるにももう少し難易度が高い曲も作れるだろうにと思います。そこがいつも聴く度に引っかかるので少しマイナスです。」(遊佐猫介さん)/「特に面白みのない曲だと思いますが、間奏曲として聴くには良いかも。」(音楽の玉手箱さん)/「上品・カンタービレ・美しい等、一般にはきれいな曲らしいけど、受け付けません。メロディが気持ち悪い。何回聴いても理解できないのです。嫌いです。」(たかこ姫さん)

 最後は第10位第7曲「英雄」です。6位以内に入れているのが僅か5人。曲集の中で並べさせているのでこういう曲も出てきて当然で、だからと言って嫌われているわけではないはず…と言いたいのですが、コメントを見ると、そう甘くないようですね。
 「調子のいい堂々とした曲ですね。楽しいですが、同じようなところが繰り返されるので、ちょっと物足りないというか地味に聴こえてしまいます。」(改さん)/「一応かっこいいのですが、どうも盛り上がりに欠ける気がします。もっと盛り上げ、激しくして欲しかった。」(ragazzoさん)/「カッコイイですね。ただ何となくありがちな音でまとまってしまっているのが少し…。」(遊佐猫介さん)/「英雄調の曲は好きなのですが、この曲はなんだか面白くありません。」(HSKさん)



 以上、みなさんに書いて頂いたコメントを引用しながら見てきました。コメントを書いていない方も、点数にいろいろな思いが込められているのだろうなとは思いつつも、そこまで解説することは出来ませんでした。点数一覧をよく見ると、またいろいろなことが分かるかも知れません。
 最後に、12曲が全部あって一つの曲集・一つの作品・一つの物語だということをもう一度確認して、アンケートの結果発表を終えたいと思います。

 あぁ、僕も超絶もっと聴こうかな。



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