第4回アンケート ハンガリー狂詩曲(S244)・スペイン狂詩曲(S254)

[曲紹介ページはこちら]



2005/12/11

回答受付期間:2005/07/10〜2005/12/03

 一般に「ハンガリー狂詩曲」といわれるのは19曲あります。第1番から第15番までは1853年に出版されたものです。一方第16番から第19番までは、ずっと後の1880年代のものです。
 これとは別に、「マジャールの歌とマジャール狂詩曲」(S242, ハワード第29巻所収)というものがあります。マジャールというのはハンガリーのことですが、区別のためにこう呼んでいます。番号はつながっていて、第11番までがマジャールの歌(Magyar Dalok)(ハンガリーの民族旋律、Ungarische Nationalmelodienとも)、第12番から第22番までがマジャール狂詩曲(Magyar Rapszódiák)です。このマジャール狂詩曲第20番が、有名な方のハンガリー狂詩曲と混同され、「ハンガリー狂詩曲にはあと1つ未出版の第20番がある」などと騒がれていました。この曲はルーマニアの旋律を含むことから「ルーマニア狂詩曲」とも呼ばれています。
 さて、リストの狂詩曲にはもう一つ有名な「スペイン狂詩曲」(1863年頃作曲)があり、ハンガリー狂詩曲と同一のCDに入っていることも多いことから、今回これも含めて20曲のアンケートとしました。


 20曲もあったので、なかなか投票が集まらないかと思っていましたが、多くの方が回答してくださいました。全曲は知らないという方も少なくありませんでしたが、単純に平均値を出して見ていくことにします。
 それでは投票の様子をご覧ください。


名前1番2番3番4番5番6番7番8番9番10番
Giulianoさん20101516351822273031
LOM22342026211618293925
直坊さん4034---36--35-
螺子巻さん31322819192921173032
リスト=ショパンさん30353231233931353839
HSKさん51231533311253828
anonymousさん-10--105--30-
匿名さん10342026253529382725
ragazzoさん15352027-29-25-33
たかこ姫さん915830202512113229
ユウさん3230.5132514293037285
keiさん20302030354030203520
CEOさん1530101038537363715
ヨレさん16271220142618172123
改さん28382023353817403040
Rちゃんさん15202318163028192414
けこさん392537201940----
音楽の玉手箱さん839203518520153140
平均20.88227.25018.81323.18821.56226.55623.14326.06731.56326.600
名前11番12番13番14番15番16番17番18番19番スペイン
Giulianoさん3940382352421191640
LOM27383137283332352440
直坊さん3437393837----33
螺子巻さん1621183835----25
リスト=ショパンさん34383940393030353040
HSKさん319143826237164037.5
anonymousさん-35--10----0
匿名さん36362329221617131140
ragazzoさん-35.5-1030.5----40
たかこ姫さん222726212831-18-35
ユウさん3540252227--332038
keiさん30302020352020353030
CEOさん10303153520--3439
ヨレさん29223825248--3039
改さん1815171315--303137
Rちゃんさん27291721333639323534
けこさん---38------
音楽の玉手箱さん10223023341910281335
平均26.53329.67627.06725.94127.26523.63622.00026.72726.16734.265

 順位は次のようになりました。スペイン狂詩曲>第9番「ペストの謝肉祭」>第12番>第2番>第15番「ラコッツィ行進曲」>第13番>第18番>第6番>第10番>第11番>第19番>第8番>第14番>第16番>第4番>第7番>第17番>第5番「悲劇的英雄詩」>第1番>第3番


 では順番に見ていきます。

 第1位は圧倒的にスペイン狂詩曲でした。18人中8人に一番好きと言われたら、もうハンガリー狂詩曲は対抗の余地がありません。
 「最初の音からすさまじい迫力です。前奏の後のメロディーが段々変奏されていく感じですが、全て大きな変化を見せるのでまったく飽きません。後半は前半に比べると落ち着いた感じでしたが、最後のほうに狂ったように盛り上げるのはさすがリストだなぁ〜と思います。」(ragazzoさん)/「とても魅力的で迫力のある序奏にひきつけられます。そしてアンダンテで奏でられる美しい旋律、素晴らしいです。終わり方がまとめきれてないような感じがするのがちょっと残念かな…(私はそう感じる)。」(音楽の玉手箱さん)/「最初はただ長いだけだと思っていましたが、後半の盛り上がりも良いし中間のパストラルも良いですね。ただやっぱり長いですしあまり気軽に聴こうとは思いません。」(HSKさん)

 以降すべてハンガリー狂詩曲です。第2位第9番「ペストの謝肉祭」。第1位に挙げているのは僕だけでしたが、この曲が嫌いという方はあまりいないようで、それが上位の理由のようです。曲全体を通して凄まじい迫力。素直にカッコいいと言わせるパワーがあるのでしょう。
 「全てが堂々としていて好きです。あまりハンガリーという感じはしませんね。最も派手だと思います。」(HSKさん)/「技巧が恐ろしいですね。まさに祭りと言った感じのどんちゃん騒ぎがいいですね〜。」(音楽の玉手箱さん)

 第3位第12番
 「万華鏡のようで好きです。」(ユウさん)/「この曲だけは暗譜していて、少なくともここ5年間はレパートリーにしています。」(anonymousさん)/「ちょっと暗い情念みたいなものが感じられるので。」(Giulianoさん)
 以上3名が、この曲を第1位に挙げていらっしゃいました。
 「この曲も冒頭からかっこいい曲ですね。変化が大きいですね。途中できれいな旋律を挟むのは、単調になるのを避けてるのかな…? 後半はかなり明るくて開放された感じです。終わり方が少々強引でした。」(ragazzoさん)/「有名なようですが苦手です。フリスカにあんな優しいメロディが出てくるとは珍しいですね。」(HSKさん)


 第4位から第13位まで、きわめて狭い範囲にぎゅうぎゅうと並んでいます。

 第4位第15番「ラコッツィ行進曲」
 「リストの編曲、構成のうまさが感じられる曲だと思います。」(音楽の玉手箱さん)/「すさまじいパワーと迫力で、それで押してる感じがしますが、結構好きです(笑)。」(ragazzoさん)/「数あるラコッツィ行進曲の中ではこの稿が一番好きですが、それほど面白いとは思えません。」(HSKさん)/「ラコッツィは単なるばか騒ぎの曲でしかない。」(Giulianoさん)
 ホロヴィッツ編曲がありますが、これはもう完全に別の曲です。「第15番は誰がなんて言おうとホロヴィッツ版!」(匿名コメント)

 第5位で、最有名の第2番がやっと出てきました。
 「エキゾチックな色彩が強く、有名になるだけのことはあると思います。」(ユウさん)/「フリスカの序奏っぽいところで、高音がコンコンなるところが好きです。その直後の、8小節くらいも。ちょっと運動会ふうだけど、弾けたら楽しそうですね。」(けこさん)/「いろいろな表情がありどの表情もとても魅力的です。カデンツァでは演奏者の個性も発揮できますし。素晴らしい曲だと思います。」(音楽の玉手箱さん)/「ラッサンが好きではありません。フリスカはハンガリー狂詩曲中最も華やかだと思います。」(HSKさん)
 最後の方でカデンツァを挿入する部分についてのコメントも紹介します。「カデンツァはアムランがオススメです。こちらも連続オクターブ、オクターブのグリッサンド、分厚い和音を高速で弾かしたりと、超難曲です。」(ragazzoさん)/「やはりアムラン版が一番おきにいりかな…(きめてはカデンツァ。何故かシフラにはカデンツァがないのが不思議、いかにもドギツイのをいれそうなのに)。」(匿名コメント)

 第6位第13番
 「ハンガリー的な旋律が美しく芸術的な一曲だと思います。」(音楽の玉手箱さん)/「珍しい短調フリスカは楽しいと思います。」(HSKさん)
 この曲はホロヴィッツやヴォロドスの編曲があります。「ホロヴィッツ版がおきにいり。私が持っているのは1969年のボストンのものでとても音が悪いのが残念です。ヴォロドス版だとやりすぎ的な感じがする。」(匿名コメント)/「ヴォロドスの編曲を聴いてしまったのでもう原曲は聴けなくなりました(笑)。」(HSKさん) 僕は友人に聴かせてもらって、両方とも聴いたことがあるのですが、おそらくどちらも公式には手に入らないと思います。ヴォロドスのは強烈な編曲で、これを聴いてからしばらくは原曲がつまらなく思えてしまいました。でも、いろいろな演奏を聴いていると、原曲のままで楽しませてくれるピアニストもいるし、ホロヴィッツもいいと思うようになりました。結局は原曲が素晴らしいのでしょうね。

 第7位第18番。晩年の曲が妙に上位に来て驚きましたが、知っている人が少ないためですね。それでも、知っている人にはそれなりに好まれている曲のようです。
 「短調から長調への移り方に違和感があるかな…。でもその妙な感じが好きです。」(音楽の玉手箱さん)/「シンプル故にしっとりとした味わいがありますね。」(HSKさん)

 第8位第6番。第2番に次いで有名な曲だと思っていましたが、意外と低いですね。一番低い点にした人が(僕を含めて)4人もいます。
 「ホールで弾いたことがあります。7分弱という短さなのに4曲くらいに聞こえるしカデンツァも2回入っているし、フリスカがかっこよくて盛り上がるし、とても良いです。2オクターブの跳躍はきついけど、腹筋も鍛えられていいかも。この曲を弾いているだけで、らくらく2キロやせました。ありがとうリスト先生。」(けこさん)/「こういう曲は楽しければそれでいい。」(ユウさん)/「冒頭といいフリスカといい、かなり好きです。」(HSKさん)/「楽しい曲ですね。気分がウキウキしてきます(笑)。Andanteの指示が入って短調になるところは少し長くて単調かな。」(ragazzoさん)/「親しみやすい明るい曲だと思うのですが、個人的にはあまり好きではありません…。よく分かりませんが。」(音楽の玉手箱さん)/「6番ははっきりいっちゃうとあほみたいで大嫌いです。特に後半。」(CEOさん)
 ハンガリー狂詩曲全体の中である意味端っこにある曲で、これをとても楽しいと感じるか、いきすぎだと感じるかで、好き嫌いがはっきり分かれています。(個人的にはラコッツィ行進曲も近い世界だと思うのですが、第6番は嫌いだけどラコッツィは好きという人も多く、よく分かりません。)

 第9位第10番
 「人間味にあふれてるというか、暖かい感じがします。不安な和音の後にはグリッサンドの煌びやかで優しい音が慰めるように奏でられ、非常に美しいです(ここは是非グリッサンドのほうを演奏して欲しい)。」(音楽の玉手箱さん)/「冒頭の上昇音型は鳥肌が立ちます。その後も右手はなんだか細かく動いています。後半はグリッサンドを多用して華麗です。終わり方はなんだか強引でしたが。」(ragazzoさん)/「格好いい序奏とラッサン相当部分が好きです。例のグリッサンドも面白い。」(HSKさん)/「最初の音階がなんともリストらしく、かっこいいです。」(改さん)/「アムランがとっても綺麗に弾いてくれてて好きです。」(匿名コメント)
 一方、あまり強い印象を受けず、かといって嫌いという訳でもなく、適当なところにおさめている人も少なくないようです。

 第10位第11番
 「前半のイ長調のメロディが非常に魅力的だと思います。」(HSKさん)/「トレモロが印象的でしたがちょっと地味かな…。」(音楽の玉手箱さん)

 第11位第19番
 「何故かこれが一番好きです。ラッサンは退屈というのは否定できませんが、フリスカのあの軽妙なメロディは1回聴いたら忘れられないはずです。」(HSKさん)/「原曲はちょっと…ですがシフラ編はイイと思いますよ。」(音楽の玉手箱さん)/「ホロヴィッツもいいですが、わずかな差でシフラ版がいいかと…(50年代録音よりも70年代録音のほう)。シフラらしく音の洪水でたたみかけるのが個人的におきにいり。」(匿名コメント)

 第12位第8番
 「un poco animato 以降が軽快で好きです。弾いているだけで元気が出ます。」(改さん)/「ハンガリー関係でよく出てくるあのコーダの部分が好きです。前の軽やかなフリスカも軽妙洒脱。」(HSKさん)/「冒頭は暗いけど第3番に比べればだいぶ聴きやすいです。微妙に変化もあるので面白いですし。後半の明るさは好みではないです。」(ragazzoさん)/「メロディーなど気に入っているのですが、フリスカがちょっと短いと思います。」(ユウさん)/「序奏が魅力的ですがそれ以外はあんまり…。」(音楽の玉手箱さん)

 第13位第14番。これより前に作られた、ピアノとオーケストラのための「ハンガリー民謡による幻想曲」(「ハンガリー幻想曲」)が有名なので、どうしても比べてしまいます。
 「和声が面白かったりグリッサンドや高音が煌びやかに鳴ったりとなかなか派手で好きです。」(音楽の玉手箱さん)/「ピアノ協奏曲版のほうが好きです。でも、協奏曲の雰囲気が一人で味わえるのはいいと思います。」(けこさん)/「はじめに『ハンガリー幻想曲』のほうを聞いていたのでちょっと変に思いました。どう聞いてもあちらのほうが響いていますし。」(ragazzoさん)


 ここに、平均点数で2点以上もの差があります。好みに様々な違いがあるハンガリー狂詩曲ですが、ここまでの12曲はそれなりに人気が高い曲だと考えていいでしょう。(第4位と第13位との差が1.3点しかないのですから。)

 以下3曲が23点台にかたまっています。

第14位第16番
 「ラッサンが特に特徴的で印象深い。」(音楽の玉手箱さん)/「異質な奇妙な始まり、いいですね。」(匿名コメント)/「もうハンガリーかどうか分からなくなって来ますね。あの凶暴な音はそれなりに楽しめると思います。」(HSKさん)

 第15位第4番
 「非常に美しく煌びやかな曲だと思います。」(音楽の玉手箱さん)/「珍しく上品な感じがして悪くありません。」(HSKさん)/「この曲だけ、30年位前とか大正時代とかの古きよき時代の上流階級を彷彿とさせるような妙な古臭さが気になるのですが、弾き手によっても印象は変わるものだろうと思います。」(けこさん)

 第16位第7番。うぅ、コメントが少ない…。
 「迫力があって堂々としているのが印象的でした。」(音楽の玉手箱さん)/「ジプシー路線でちょっと苦手。」(HSKさん)

 ここから先は、もう一曲ごとに平均点がどんどん下がっていきます。まとめて紹介しましょう。

 第17位第17番。晩年の4曲の中での最下位になりました。
 「同じ凶暴でも、第16番と比べてこちらは格好いい。」(HSKさん)/「重いですね。そんなに好きではないです…。」(音楽の玉手箱さん)

 第18位第5番「悲劇的英雄詩」。コメントを見ているとなんだか良さそうですが、コメントを書いていない方で低い点を与えている人が非常に多いです。
 「非常に暗いけど、、なにかいい感じ。」(匿名コメント)/「リストらしい和声があったり悲愴(ベートーヴェン)の第2楽章に似た旋律があったりと、なかなか面白いです。」(音楽の玉手箱さん)/「第3番と第5番の、暗い中にも明るい光が差し込んでいるようなムードが好きです。」(けこさん)/「神秘的に盛り上がるところは嫌いではありませんが、全曲通して聴こうと思わない曲です。」(HSKさん)

 第19位第1番。意気込んで作った(はずの)最長曲ですが、長すぎるせいで敬遠してしまっている人が多いようです。
 「オシャレでいいですね。ロマンティックでとても素敵。いつか弾きたいです。」(けこさん)/「第2番のような曲がハンガリー狂詩曲だと思って聴くと物足りないですが、先入観を捨てて聴けばなかなかいい曲だと思います。」(ユウさん)/「フツーのロマン派的な曲ですね。悪くはないと思いますが…。」(音楽の玉手箱さん)/「微妙な変化はおもしろいですが、劇的な変化はない(しかも長い)ので途中で飽きちゃいます。この曲は真面目に聞くより何かしながら聞くほうが良いです。」(ragazzoさん)/「長すぎる。疲れてしまいます。」(匿名コメント)

 そして最後の第20位には第3番が来ました。
 「独特の雰囲気で悪魔的だと思います。和声も面白い。」(音楽の玉手箱さん)/「もろジプシーという感じですね。全体的に鈍重というか。そのような雰囲気を楽しむ曲だと思いますが。」(HSKさん)/「ちょっと単調かな? と思いましたが、短いのでまだマシですね。低音で弾かれる旋律は少しかっこいいかな、と思いました。重いので、長く続くとつかれてしまいますけど。」(ragazzoさん)



 こうして見てきて、まず気づくのが、華麗な曲が人気があるということです。上位6曲と下位6曲を見比べてみればすぐに分かります。カッコいい曲が多くの人に支持されるだろう、というのは予想通りでした。
 それから、15曲の後半は強いなぁ、と思いました。第1番から第15番を時間的に前後半に分けると、第8番と第9番の間で切れることになります。この後半の8曲が、上位6曲のうちの4曲を占め、第13位までに全ておさまっています。一方で、初めて聴く場合は、2枚組の1枚目から聴くようなことも多いでしょう。第1番から順番に聴いたら、有名な第2番以外はあまり面白くないなと思い込んでしまうもあるかも知れないな、と思いました。2年ほど前に、掲示板で続けて聴くべきかという話をしていたときにも、ハンガリー狂詩曲は曲集としての効果はあまり考えられていないだろうということで意見が一致していました。ですから、初めて聴く方は、思い切って2枚目から聴くとか、あるいはこのランクの順に聴いてみるとかしてみると、馴染みやすいのではないかと思います。

 なお、20曲全曲に点数を入れた8人だけを平均した順位を、一応載せておきます。
スペイン狂詩曲>第9番「ペストの謝肉祭」>第12番>第11番>第14番>第15番「ラコッツィ行進曲」>第10番>第6番>第2番>第18番>第13番>第8番>第16番>第19番>第4番>第7番>第17番>第5番>第3番>第1番
 第16〜19番の評価はこれを見て初めて判断できると思います。4曲ともあまり人気ではないというのが現状のようですね。(だから本当は第7位なんかに来ないように調整すべきだったのでしょう。どうすればいいかちょっと分かりませんでした。)


 せっかくなので録音も紹介しておきましょう。
 一番のお薦めは、やはりシフラ。ハンガリー狂詩曲といえばシフラ、というのは、もはや常識のようにもなっているように思います。ジプシーらしい魅力を見せてくれるのはこの人しかいないとさえ言えるかも知れません。熱い曲はもちろん、静かな曲も素敵に聴かせてくれるので、文句なしです。ただ、ハンガリー狂詩曲を最初に聴くときに彼を選んでしまうと、他の演奏を聴けなくなってしまいそうですし、微妙に改変などもあるので、それは避けた方がいいのではないかと思います。
 最初に聴くなら、ミケーレ・カンパネッラあたりがいいと思います。僕は所有はしていないのですが、友達に聴かせてもらったところ、標準的でかつ魅力のある演奏だと思いました。
 あと、ハワードは、晩年の4曲が面白いと思いますが、わざわざ高いこれを買うことはないでしょう。シドンはなかなか個性的な演奏です。シフラには敵いませんが、シフラを聴いて他のも聴いてみたいという方はどうぞ。スペイン狂詩曲はシドンが一番カッコいいです。
 それから、晩年の4曲に関しては、ジェフリー・スワンを強くお薦めします。Amazon.co.jpでは在庫切れになっているので、手に入りにくいのかも知れませんが、ぜひ聴いていただきたい録音です。晩年のハンガリー狂詩曲は面白くないと思っている人は、これを聴けばぶったまげることでしょう。異様な熱さをもってこれらの4曲を弾いています。これを聴いてから、これぐらいに弾くのなら編曲は全然必要ないと思うようになりました。


 さて、いろいろ書いてきましたが、実際のところ、僕は最近何回かこの曲集を聴いているうちに、どの曲も(というよりどのメロディーも)身近に感じられ、愛着を持って聴けるようになりました。きっと“ハンガリー風”に慣れきったのでしょう。1850年代の15曲も1880年代の4曲も、受ける印象は大して変わりません。地味だと思っていた曲も、聴いてみれば素敵な表情があります。
 これらは全てもとはジプシーの音楽でした。食べることや寝ることと同じように、彼らが生活の一部として本能的に接していた音楽、それは本当にいきいきとしています。人間の生そのものであるような、非常に自然な音楽だと感じます。
 ハンガリー狂詩曲はすぐに飽きる薄っぺらな音楽だと見なされることも多いようですが、僕は確かな魅力があると思っています。偏見がなくなって、もっと多く取り上げられるようになればと願っています。




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