極私的曲紹介 11 民族的旋律による作品
○ハンガリー狂詩曲
・ハンガリー狂詩曲第8番
○スペインの音楽による作品
ハンガリー狂詩曲
2003/09/23, 2004/03/13
部分的に相当有名になっているこのハンガリー狂詩曲、その名の通りハンガリーの民族的な旋律がもとになっているらしいのですが、大体ハンガリーの民族音楽などというものを聞いたことがないので、何も考えずに曲として楽しむことができます。
ただ、19曲は少し作りすぎかな、という気はします。他に有名な狂詩曲として「スペイン狂詩曲」、他に「ルーマニア狂詩曲」なるものもあるらしいのですが、これらをあと1,2曲ずつ作っても良かったのでは…?現地調査が足りなかったのでしょうか?
さて、1曲ずつ一応紹介しますが、それほどよく聞いている曲集ではないので、あまり詳しくは書けないと思います。ご了承ください。
「ハンガリー狂詩曲第1番」は3,4回は聴いたと思うのですが、ちょっと長すぎる。1番なら超絶みたいに短くして欲しかった。
「ハンガリー狂詩曲第2番」♪は超有名曲です。僕が弾いた2番目のリスト曲なのですが、とにかく変化が激しい。弾いていても聴いていても飽きません。でも、聴き慣れてしまうと退屈になってしまうようです…。最近はあまり聴きません(弾きはしますが)。リスト自身もこの曲が有名になりすぎて飽き飽きし、弟子に弾いて聴かせるのをやめてしまったそうです。…その割にはコーダやら珍版やら作っていますが。ちなみに弾くときの一番の難所は、最後の辺り、ホ長調のfffの後に来る、イ長、嬰ヘ長の上昇音階です。指が全然動きません…。
「ハンガリー狂詩曲第3番」は重そうなので聴いていません。
「ハンガリー狂詩曲第4番」は、MIDIを聴いてハマった曲。ひたすら明るいと言ってしまえばそれまでなのですが、右手の急速な部分やリズミカルな部分があって、楽しめます。弾こうかと思いましたが、少しくらい部分も欲しいように思いましたのでやめました。
「ハンガリー狂詩曲第5番」…、そうは言ってもこれはまた暗すぎます。長いですし。
「ハンガリー狂詩曲第6番」♪、再びやってきました有名曲。多分この中で2番目に有名ではないでしょうか。僕は深みのない音楽のような気がしてあまり好きじゃないのですが。
「ハンガリー狂詩曲第7番」も変化が激しくて面白いのですが、有名じゃないのは何故でしょう?
「ハンガリー狂詩曲第8番」は少し退屈ではありますが、結構良いです。冒頭のゆっくり広範囲を動くところと、最後の3分の1ぐらいの明るい部分がいいですね。(と書いていますが、この辺本当にうっすらとしか記憶がありません…)
「ハンガリー狂詩曲第9番」も有名みたいですね。僕は最後の謝肉祭のところが好きです。
2004/03/13 最初から堂々とした音が鳴り、スカッとします。その後しばらくは比較的落ち着いた感じだったと思いますが、最後の謝肉祭のところは緊張感たっぷりで、素晴らしいです。
「ハンガリー狂詩曲第10番」は音階やグリッサンド(ピアノでは1つの指で白鍵だけをすべらせるように弾くこと)を多用した曲。多少強引なところもあるかも…。
「ハンガリー狂詩曲第11番」は可愛らしい冒頭が印象的な曲。
2004/03/13 …と思っていましたが、最後はかなりカッコいいんですね。好きになりました、この曲。
「ハンガリー狂詩曲第12番」は、ハンガリー狂詩曲嫌いのボレットが唯一弾いている曲。あまりハンガリー風ではないと言うことでしょうか?これも変化が激しくてとても楽しいですが、最初の方が少し暗くて、聴き始めの頃は抵抗ありました。
「ハンガリー狂詩曲第13番」は単音で動き回る冒頭が嫌いなので聴いていません(爆)。
2004/03/13 …などと言っていました(笑)。今もあまり聴いていないのですが、フリスカの妖しさは病みつきになるものがあります。問題は前半になじめないことかなぁ…。
「ハンガリー狂詩曲第14番」は冒頭がカッコいいのですが、長いので聴いていません(ぇ)。
2004/03/13 …だって(爆)。今では大好きです。全体的に楽観的な感じがする曲です。最後の最後でいきなり出てくるオクターブのメロディーなんか、もう明るい明るい。楽しいです。
「ハンガリー狂詩曲第15番」はどこかで聴いたことあるような気がします。あまりリスト的じゃないかも知れません。
さて、これまでの15曲は比較的若い頃の作品(1853年出版ということ)ですが、あと4曲、晩年の作品があります。取り上げられる機会は少ないのですが、一応紹介しておきましょう。
「ハンガリー狂詩曲第16番」は冒頭が良かったような気がします。後は記憶にありません。
「ハンガリー狂詩曲第17番」はリヒテルの演奏(彼唯一のハンガリー狂詩曲です!)を聴いてから好きになりました。最後の部分など晩年らしくカッコいい曲です。
「ハンガリー狂詩曲第18番」については何も覚えていません。
2004/03/13 この曲はラッサンが少し退屈ですが、それを気にさせないフリスカの魅力があります。ラッサンは聴く人を寝せるため――フリスカで飛び起きさせるため――にあるような気もしてきます。もちろんラッサンもいいもので、時によってはこれに大きな共感を覚えるのですが。[詳説へ]
「ハンガリー狂詩曲第19番」も長いということしか覚えていません…。
2004/03/13 これは晩年のハンガリー狂詩曲の中で唯一長い曲です。さほど魅力は感じませんが、ブラームスのハンガリー舞曲第5番によく似たメロディーがあり、親しみが持てるかも知れません。
えぇ、思った通りとんでもない文章になりましたね…(笑)。こんなんでリストの全然有名じゃないような曲を聴いていていいのか、という気はしますが、ハンガリー狂詩曲には最近ハマりだしていますので、このページもいずれ素晴らしい文章で書き直すことになるかも知れません。
2004/03/13 少し書き直しました。まだまだ聞きこみが足りない曲もありますが。
「ハンガリー狂詩曲第8番」 S244/8
"Rapsodie hongroise No. 8"
2004/05/21
ハンガリー狂詩曲、晩年の4曲を除く15曲の中で単純に数えると、ちょうど折り返し地点に位置するのがこの曲です。3つの主題から成っていますので、別々に紹介していきます。
まず1つ目は、「アヒルが葦の中で卵を抱いている」("Káka töven költ a ruca")という主題です(譜例1)。アヒルの心情――卵がかえるのを楽しみにしたり、それまでに何かトラブルがないか心配したり、卵をまじまじと見つめたり、周囲を警戒したり――をよみとるべきなのでしょうか? 同音連打やトリルが多用されているのは多少面白いですが、長すぎますし、僕にはちょっと退屈です。メロディー自体に魅力が感じられません。最初の部分がこうなので、長い間第8番は僕には合わないものと決めつけていたのでした…。
ところが、真ん中ぐらいで突然場面転換します。2つ目の主題、マルク・ロウソヴェルジ(Márk Rószavölgyi)の「チャルダッシュ」("Csárdás")です。極めてのどかな雰囲気(譜例2)は、シャボン玉のような気分にさせます。しかしこれもすぐに、こわれて消えてしまい、代わりに夢のような音(譜例3)が出てきます。ここがこの曲の美しさの頂点だと思っています。“水”の美しさの最高峰は「エステ荘の噴水」(巡礼の年第3年第4曲)でしょうが、ここの美しさは水を越しています。水よりも神秘的で美しい液体(そんなもの実在するのか知りませんが)が流れているような感じです。“水”よりも好きです。これに似ている(が、やや劣る)ものとしては、「エステ荘の糸杉に――哀歌II」(巡礼の年第3年第3曲)の美しい部分が挙げられると思います。他に「森のざわめき」(2つの演奏会用練習曲第1番)も近いかも知れません。とにかく汚れたものは全て洗い流してくれるような感じの素晴らしいものです。その後、シャボン玉が再び現れたりして、本当に心地よくさせてくれますが、だんだん狂詩曲的になってきます。
そして、3つ目の主題(譜例4)です。これはお祭り気分の勢いよい部分です。さっきまで神秘的な世界を楽しんできたので、こういうのはまた非常に楽しめます。いろいろな表現を見せながら盛り上げていき、そのまま曲を閉じます。
僕としては後半(第2・3の主題)だけあればいいといった感じでしたが、前半もアヒルなりに哀愁を帯びてみていたりしていて、何度か聴いているうちに徐々に好きになってきたようです。
CDは、大好きな2番目の主題の部分だけ見れば、ハワードのゆっくりな演奏がいいかとも思いましたが、曲全体で見たらシフラが一番いいでしょう。第3の主題のところの面白さでは、シフラに敵う者はいないでしょう。
○ジョルジュ・シフラ[6:38](1/8) [Amazon.co.jpの紹介ページへ][Amazon.comの全曲試聴ページへ]
○レスリー・ハワード(第57巻)[6:51](1/8) [Amazon.co.jpの紹介ページへ][Amazon.deの全曲試聴ページへ]
○ロベルト・シドン[5:59](1/8) [Amazon.co.jpの紹介ページ(輸入盤)へ][Amazon.co.jpの紹介ページ(国内盤)へ][Amazon.comの全曲試聴ページへ][Amazon.deの全曲試聴ページへ]
(譜例1) 「ハンガリー狂詩曲第8番」 S244/8 ♯♯♯

(譜例2) 「ハンガリー狂詩曲第8番」 S244/8 ♯♯♯♯♯ 2/4

(譜例3) 「ハンガリー狂詩曲第8番」 S244/8 ♭♭ 2/4

(譜例4) 「ハンガリー狂詩曲第8番」 S244/8 ♯♯♯♯♯ 2/4

スペインの音楽による作品
2003/10/20
○曲組のセットにはなっていない曲ですので、しばらく何も書かれないまま放置されていた「スペイン狂詩曲」♪ですが、大好きな曲です。
単独曲とは言いながらも、"狂詩曲"つながりでよくハンガリー狂詩曲と一緒に付いてきます。これはリストが生きていた頃から行われていたことのようなのですが、この2つはどうもあまり似ていないような気がするのです。
僕は、ハンガリー狂詩曲はあまり真面目じゃない音楽のように思っています。思いつきをどんどん発展させてくっつけた19曲、そんな風に感じます。でも、スペイン狂詩曲の方は、真剣、と言ったらハンガリー狂詩曲に悪いですが、もっとまともな印象を受けるのです。
いろいろなメロディーが次々に出てきて聴き手を飽きさせない構成はどちらも同じなのですが、何かが違う。音楽をよく勉強していないのであくまで"感じ"なのですが、まぁ、1分間ほど考えて思いついた言葉が「無理がない」「うまくつながっている」というあたりでしょうか…。うまく表現できないのですが、そんな感じです。
では、どちらがいいのか、と言うと、場合によりけりなんですね。ただ、今書いたような理由で、スペイン狂詩曲の方が自然の流れにより合っている感じ(あぁ、分かりにくい表現…)なので、音楽として聴いてきれいなのは「スペイン狂詩曲」です。
そして、やっぱりメロディー自体がいい!これはスペインに元々あるものなのかも知れませんが、美しいもの、カッコイイもの、様々に揃っています。これまた音楽学的に分かりやすく説明できないのですが、一番のお気に入りは「ドードーーレドシシラシソ…」という部分。もうカッコ良すぎです!ゾクゾクッとします!「タタタッタッ」という左手の入り方も勢い良い感じで素敵!他の所もいちいち取り上げたらきりがないのですが全体的にいい!
すっかり盛り上がってしまいましたが、一連の大曲と比べても、長い割にはかなり親しみやすい曲ですし、ハンガリー狂詩曲を買ったら大抵オマケのように付いてきますので、この曲のCDは容易に手にはいるでしょう。「これまで全く気にしていなかったけど実は持ってた…」なぁんてこともあるかも…?ハンガリー狂詩曲の側から邪魔者扱いしないで、是非聴いてみてください。強くオススメします!
さてさて、スペインの旋律のおかげでこんな素晴らしい曲が出来るのなら、とハワードの第45巻「スペイン狂詩曲、その他スペインの旋律による作品」を買おうかと思っているのですが、どうなんでしょうか?
2004/03/27
はい、買ってみました。非常にいいCDだったので、紹介してしまいます。「スペイン狂詩曲」のハワードの演奏は好みじゃなかったけど。
スペインの主題「密輸入者」による幻想的ロンドー♪は、とにかく明るくて、非常に楽しい曲です。ウケるんじゃなくて、真面目に楽しませる、という感じ。もちろんそのために技巧はものすごいものになっているらしいです。
「技巧的」とは言っても、音楽として純粋に聴いても十分いいものだと思います。心落ち着かせる雰囲気や、ちょっともの悲しげな感じも出てきます。また、猛スピードなので聴いている途中で飽きない、というのもあるかも知れません。これだけの難曲を見事に弾きこなすハワードは凄い…、と思います。
とりあえずAmazon.deで最初の1分間を試聴してみてください(こちら)。トラック6です。最初の1分間だけでもどんなにハイスピードで変化していくか、そしてどんなに楽しい曲かが分かるんじゃないかと思います。(1分ってこんなに長かったっけ?と焦りました。。。)
スペインの主題による演奏会用大幻想曲は、あまり楽しめませんでした。スペイン狂詩曲と同じ主題が出てくるところでは少し安心できますが、それにしても18分は長すぎる。これはスペイン狂詩曲を聴いた方がよっぽどましです。(もちろんそれを承知の上で聴くべきものなのでしょうけど…)
ロマネスカはリストとしては珍しいタイプの曲かも知れません。慣れないものですから、この雰囲気をなんと表現してあげたらいいのか分かりません(汗)。“ロマンチック”なのでしょうか…?好きなことには間違いないのですが。
Amazon.deで試聴できる(トラック4)部分で聴ける右手のなめらかで少しどろどろした主題に、左手はスタッカートというところは、妙な怪しさも体験できます。曲全体、大体こんな調子なのですが、途中2分ぐらいと最後で地団駄を踏むようなのが出てきて、これも楽しめます。あと、地団駄のあとの再びロマンチックなところでは、ちょっと聞き慣れないような変わった右手のリズムもあり、なかなか面白いです。
僕はいつも最終稿をしっかり聴き込んでから第1稿などは聴くようにしているのですが、この曲は第1稿を聴いたときの衝撃は大きかったです(笑)。地団駄のところが、楽しそうなトリルになっていて、そこからずっと調子が狂っているんです。最後も変に明るいし。やっぱりまだ磨きが足りない、という感じです。あと、冒頭のスタッカート伴奏が第1稿ではそうなっていないのは、ハワードの気紛れか、楽譜がそうなっているのかは分かりません。
ちなみにトラック5「Feuille morte」については、まだ聴き込みが足りませんので。45巻の中でこの曲だけ馴染めませんでした。
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