極私的曲紹介 5 コンソレーション
○コンソレーション
・第1番
・第2番
・第3番
・第4番
・第5番
・第6番
コンソレーション
2003/09/24
あまり聴いていないゆったり系の曲集、6曲です。
「コンソレーション第1番」は変化の少ない楽譜わずか1ページの曲。別にどうだってことはないです。
「コンソレーション第2番」は、一時期好んでいましたが、あまり聴いてはいませんでした(笑)。冒頭から、変化がある程度激しく、明るい、冬の星空のような曲です
「コンソレーション第3番」は、一番有名ではありますが、僕はあまり好きではありません。退屈に思います。
「コンソレーション第4番」は、何かのパラフレーズみたいなのらしいです。聞き慣れた感じのメロディーですが、そこにリストらしさが光る訳ではありません。
「コンソレーション第5番」は冒頭から大人の音楽みたいな暗さ(?)があります。好きとは言えません。
「コンソレーション第6番」は現在一番好みの曲です。少ししつこく、冒頭が一番端正でいいのですが…。どうってことないメロディーを伴奏がうまく彩ります。
以上、小曲集なだけに短い紹介で終わってしまいましたが、これ以上書けませんので終わらせていただきます。
2004/03/05
前回のがちょっとあんまりだと思ったので、書き直しました。文字数的にどれぐらい増えているか、内容がどれぐらい変わっているかは謎です。
コンソレーションは「慰め」という意味。きれいな曲が揃った小曲集です。
「コンソレーション第1番」は、非常に短い曲。落ち着きがある感じです。
「コンソレーション第2番」になって、流れるように動き始めます。このメロディーが美しい。素晴らしい作品です。多分この曲集の中では第3番に次いで有名だと思います。
…という、「コンソレーション第3番」。最有名ですが、僕はあまり好きではありません。動きがないというか何というか…。何故でしょうね??
「コンソレーション第4番」は第1番に似ているような気もしますが、こちらはもっと魅力的、ちゃんとした癒やし系の“落ち着き”です。このメロディーは確か借り物ですが。
「コンソレーション第5番」は大人っぽい序奏に始まり、すぐに冬の星空を思い浮かばせるような、透き通った美しいメロディーに入ります。昔は最初だけ聞いて毛嫌いしていたのですが、改めて聴き直して大好きになりました。
「コンソレーション第6番」も同じような、澄み渡るような美しさで始まります。上下の伴奏は見事、ここから少しずつ沈んでいき、低音で落ち着いたところで曲集を静かに閉じます。
この6曲を僕は、1・3・4/2・5・6、という風に分けてみました。順番に並べると、静・動・静・静・動・動(→静)となります。静を“穏”、動を“透”と言い換えてもいいでしょう。2方向からの“慰め”、気分によってどちらかを選び、3曲だけ聴いてみるのもいいかも知れませんね。
コンソレーション
タイトルの由来は、シャルル=オーギュスタン・サント=ブーヴ(Charles-Augustin Saint-Beuve)によるフランス語の詩集"Les consolations"という説が有力ですので、本来「コンソラシヨン」と仏語読みすべきでしょうが、英語風の「コンソレーション」ですっかり定着しています。日本語にすると「慰め」です。
超絶技巧バリバリのリストの姿はほとんど見られず、彼の穏やかな落ち着いた側面がよく活かされた曲集だと言えるでしょう。“弾きやすいリストの曲”だということもあって、リストにあまり慣れていない人にも広く親しまれています。
初めて聴くときは、ボレットがいいでしょう。ジルベルシュテインやハワードも通して聴けば、大して悪いとは思いませんでしたが、やはり音の美しさで定評あるボレットが無難だと思います。
なお、コンソレーション全6曲中の好みのアンケートを行いました。その結果・分析はこちらです。
「コンソレーション第1番」 S172/1
"Consolation No. 1"
2004/07/05
「慰め」という意味の曲集の最初の曲です。コンソレーション全6曲、それぞれ違った雰囲気で慰めてくれるのですが、この曲は落ち着けるタイプの慰めです。「まぁまぁ細かいことはさておいて、横にでもなって心静かに――」といった感じです。
…というのはボレットの録音を聴いた感想です。こんな単純で短い曲でも精一杯感情を込めて弾いています。この曲として最高の演奏でしょう。これに対してジルベルシュテインは、落ち着いてはいるものの、ほとんど無表情です。彼女は、曲集の始めに軽く気持ちを整える曲ぐらいにしか考えていないように思えます。なお、ハワードは落ち着きのない幼稚園生の演奏のように元気がよく、コイツ本当に慰めてあげようって気あるんやろうかと言いたくなります。
ちなみにこの曲は、一部ではリストの簡単な曲の代名詞のように呼ばれているようです。わずか25小節の小品(譜例1)ですので、「リストなんて私にはとても…」という方も挑戦してみてはいかがでしょうか。
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(譜例1) 「コンソレーション第1番」 S172/1 ♯♯♯♯ 4/4

「コンソレーション第2番」♪ S172/2
"Consolation No. 2"
2004/07/06
やや前奏曲的な感覚があった第1番に続き、第2番はちゃんとした慰めです。重めの音楽は慰めどころか負担になるだけだ、というぐらいに疲れた時は、「コンソレーション」の中でもこの曲が最適となります。スーッと自然に体に入っていきます。
イメージとしては、サラサラと流れるきれいな川のような感じです。重さを感じさせない速めの動きの冒頭(譜例1)は、蒸し暑い第1番の世界へ少女が軽やかに走り抜けてきて、涼やかな風が吹いてきたような印象を受けます。後半になるとやや淋しい要素も入ってきて、心にツーンときますが、最後は淋しさも消えて、落ち着き系の音で終わります。
全体的に親しみやすさがあり、「コンソレーション」の中では第3番に次いで2番目に有名になっています。ただ、第3番の陰に隠れている感もあり、もう少し知られてくれればなぁ、と思うところです。
演奏は、ジルベルシュテインとボレットが大体同じぐらい、どちらも素晴らしいのですが、耳なじみの良さという点でわずかにジルベルシュテインの方が勝っているような気がします。ハワードは例によって速く、「CD1枚に収めなければならないので――」と言い訳してきそうですが、それにしてももうちょっと端正にならないものかと思います。
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(譜例1) 「コンソレーション第2番」 S172/2 ♯♯♯♯ 4/4

「コンソレーション第3番」♪ S172/3
"Consolation No. 3"
2004/07/06, 2004/07/08
コンソレーションの中で圧倒的有名度の持つこの作品、ですが、僕は一番嫌いだと言い切ってしまいます。
右手は、ツーンと来るようなメロディーです。この表現――第2番で何の断りもなしに使ってしまいましたが――は、漠然とした慰めではなく、ショック等を感じているところを精密に訊いてきて、そんな厭なことがあったと少し苦しくなり、また、同時に相手にやさしさを嬉しく思い涙が出てきそうに感じるようなイメージを指しています。で、この右手は(第5番などに敵うものではないにせよ)まぁいいのです。
左手は、落ち着かせるようなタイプのものです。こういうときの低音は、僕にとって、全てのこまごまとしたことをどうでもいいやと思わせるような意味を持っています。
さて、この2つが一緒になったのが「コンソレーション第3番」(譜例1)なのですが、これが全くもって気にくわないのです。右手に焦点をあてると、左手と矛盾して、「じゃぁ細かいことまで気遣ってくれてるその言葉は見せかけのものなんかい」ということになり、曲自体何の意味もないように思えてしまいます。一方、左手に焦点を当てると、ひたすら落ち着いているだけで、右手は「何か動いているなぁ」ぐらいのものに聞こえますが、それにしては右手が邪魔でうるさいですし、落ち着きにも第4番ほどの魅力がありません。
「コンソレーション第3番」ファンの方、僕がひねくれているなどとは思わないでください。何故好きになれないか注意深く分析した結果(のはず)です。よろしければどこが魅力なのか分かりやすく教えて頂ければ嬉しいのですが…。
さて、演奏についても、僕が書いたところで参考になるか分かりませんが、一応書いておきます。僕が一番いいと思ったのはアファナシエフです。穏やかさはある程度捨ててしまい、右手でしっかり歌い上げています。あとは、及川浩治、ボレットの順でマシかと思います。ボレットは流れていってしまう感じです。ハワードは、異様に機械的で、もはや慰めではありませんが、かえって面白かったりします。ジルベルシュテインは、究極に落ち着いている激遅の演奏で、僕には退屈するだけのものです。
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○及川浩治[4:03](3) [Amazon.co.jpの紹介ページへ]
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(譜例1) 「コンソレーション第3番」 S172/3 ♭♭♭♭♭ 4/4

「コンソレーション第4番」 S172/4
"Consolation No. 4"
2004/07/11
コンソレーション第4番は、一言で言えば、落ち着き系です。でも、それだけでは終わらない何かがあります。
小学校低学年、まだ手先が器用でない頃、とても小さな枠の中に名前を書かないといけないことがありました。小学1年になると大量の教材類に1つ1つ記名しなければならないので、多分そのうちの1つだったのでしょう。当時の僕の目には恐ろしく小さく映りました。父のところに持っていき、書いてもらうことにしました。父なら大丈夫、失敗しないという安心感、信頼感がありました。
――この曲を聴いていて、ふと幼い日のこのことを思い出しました。コンソレーション第4番にも同じような雰囲気があります。信頼できる人に任せたという安心の気分が感じられます。「この問題はオレが処理するから」と言われ、これで大丈夫だと思ったような感じです。
実はさっきの話には続きがあります。父が書こうとしている最中に、僕が同じ机で遊んでいて、机が揺れていたのだと思います。父は机から離れろと言ってきました。このとき初めて、信用していた父でも失敗する可能性があるんだということを僕は知ったのです(実話です。当時日記を付けていたはずなのでもしあれば引用したいのですが、あの頃はこんなことは書かずにただ事実だけを書き連ねていたので、このことに関して当時の僕の言葉は残っていません。でも、未だにはっきりと覚えていますので、結構ショッキングな発見ではあったと思います)。
で、再びコンソレーション第4番の話に戻ります。この曲、はじめは和やかな雰囲気(譜例1)なのですが、最後までそのままはいきません。すぐに困ったような感じ(譜例2)になり、低音で落ち着き(譜例3)、解決へのヒントを見つけたと一気に盛り上がり(譜例4)、また行き詰まって涙のような様子を見せ(譜例5)、最後は諦めてしまったように聞こえます(譜例6)。任せられたはいいものの、どうしようもなくなってしまった風に感じます。でも、曲のベースにあるのは、やっぱり“落ち着き”です。頼んだ方は、苦労しているとは夢にも思わず、ただ信じているのです。結果、あまり深刻にはならず、全体的に穏やかな感じの曲になっています。
以上、「慰め」からはやや離れましたが、せっかく蘇ってきた懐かしい記憶ですので、書いてみました。
演奏ですが、この曲は甲乙つけがたいので、それぞれの特徴だけ書いておきます。ジルベルシュテインは、↑に書いたような心情的な部分はあまり見せず、落ち着きを強調した演奏です。ホロヴィッツは全く逆で、落ち着きがないようにも聞こえる代わりに感情面がしっかり伝わってきます。欲張って両方を半分ずつとったのがボレットです。ハワードもこの曲は悪くはなく“快速”という感じがあり、雰囲気がしっかり伝わってきます。優劣はご自分で判断してください。
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○リーリャ・ジルベルシュテイン[3:15](6) [Amazon.co.jpの紹介ページへ][Amazon.comの全曲試聴ページへ]
○レスリー・ハワード(第9巻)[2:12](19) [Amazon.co.jpの紹介ページへ][Amazon.comの全曲試聴ページへ][Amazon.deの全曲試聴ページへ]
(譜例1) 「コンソレーション第4番」 S172/4 ♭♭♭♭♭ 4/4

(譜例2) 「コンソレーション第4番」 S172/4 ♭♭♭♭♭ 4/4

(譜例3) 「コンソレーション第4番」 S172/4 ♭♭♭♭♭ 4/4

(譜例4) 「コンソレーション第4番」 S172/4 ♭♭♭♭♭ 4/4

(譜例5) 「コンソレーション第4番」 S172/4 ♭♭♭♭♭ 4/4

(譜例6) 「コンソレーション第4番」 S172/4 ♭♭♭♭♭ 4/4

「コンソレーション第5番」 S172/5
"Consolation No. 5"
2004/07/12
全6曲のコンソレーションも最後の方になってきましたが、ここで曲集中での“ツーン”の最高峰が出て参りました。第5番です。
この曲は、コンソレーションの中で一番付き合いが短いものです。というのは、冒頭の妙に大人っぽいところ(譜例1)だけが印象に残っていたせいで、そんな曲だと思い込んでいたからです。それでずっと聴かずにいて、“ツーン”の部分の存在に気付いたのは大分後のことでした。
この“ツーン”も、ここまでくると「5つのピアノ小品第4番」に近い世界になっています。2月の強烈な寒さを思い出させます。冬の夜、人通りはほとんどなく、車もあまり通らない、そんな中、家に帰る僕とあと1人。家族でも知人でもその場で知り合った赤の他人でもいいのですが、とにかく2人で歩いている、という場面。体が冷えるのとは逆に、心の中身には、一緒に歩く人がいるという暖かさがあります。
この曲は、全部“ツーン”という訳ではなく、落ち着きというか穏和な感じのところもあり、“ツーン”と交代交代で出てきます(譜例2)。さっきのイメージでの寒さと温かさを表していると思って頂けばいいでしょう。
さて、寒暖寒暖の後は、さらにあたたかい感じになります(譜例3)。暖房の効いた家に帰ってきたのでしょう。ただ、家に入っても冷えた耳や手はしばらくは冷たいままですので、相変わらず冬の戸外の雰囲気は残っています。そして、曲の最後は、とても落ち着いた感じで終わるのです。
演奏で、一番僕のイメージに近いのはホロヴィッツです。ただ、(単なるミスかも分からないものも含めて)音の変更が結構ありますので、注意しておいてください。ジルベルシュテインも、まぁいい感じです。ハワードもこの曲は、雰囲気が良く出ていて、違和感なく聴けます。ボレットも悪くはないのですが、上記の3つには敵わないように思います。アファナシエフは、何か別の、哲学的なことでも考えているのでしょう、僕にはちょっとピンときませんでした。
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○ホルヘ・ボレット[2:53](10) [Amazon.co.jpの紹介ページへ][Amazon.deの全曲試聴ページへ](このDisc 8と同内容)
○ヴァレリー・アファナシエフ[2:45](14) [Amazon.co.jpの紹介ページへ][Amazon.comの全曲試聴ページへ]
(譜例1) 「コンソレーション第5番」 S172/5 ♯♯♯♯ 3/4

(譜例2) 「コンソレーション第5番」 S172/5 ♯♯♯♯ 3/4

(譜例3) 「コンソレーション第5番」 S172/5 ♯♯♯♯ 3/4

「コンソレーション第6番」 S172/6
"Consolation No. 6"
2004/12/19
コンソレーション最後の曲は、非常に開放的な感じ、静かな冬の夜の街に合う音です。透き通った空気を伝わって、上下前後左右に広がっていく音――そんなイメージです。巡礼の年第1年の最終曲「ジュネーヴの鐘――ノクターン」にかなり近いと思っています。大好きな雰囲気です。曲集として見れば、第5番に近いです。メロディーを上下ではさむ冒頭の形からどんどん盛り上がっていきますが、うるさくはなく遠くまで響いていく感じ、という点でも「ジュネーヴの鐘」に似ています。
最後は落ち着いて、第1番や第4番のような雰囲気になります。これには室内の暖かさを感じます。寝入るような静かさで、曲集は幕を閉じるのです。
演奏は…どれも聴けます。プロにとってこの曲は難なく“聴かせ”られるのかも知れません。あえて1つ選ぶなら、ボレット。先入観もあるのかも知れませんが。次いでジルベルシュテイン、リヒテル、ハワードの順にしておきます。ハワードはちょっとオーバーヒートしちゃったかなって感じです。でも、どれも充分いい演奏です。
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○リーリャ・ジルベルシュテイン[2:32](8) [Amazon.co.jpの紹介ページへ][Amazon.comの全曲試聴ページへ]
○スヴャトスラフ・リヒテル[2:57](4) [Amazon.co.jpの紹介ページへ]
○レスリー・ハワード(第9巻)[2:48](21) [Amazon.co.jpの紹介ページへ][Amazon.comの全曲試聴ページへ][Amazon.deの全曲試聴ページへ]
(譜例1) 「コンソレーション第6番」 S172/6 ♯♯♯♯ 3/8

(譜例2) 「コンソレーション第6番」 S172/6 ♯♯♯♯ 3/8

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